主人の実家と私の実家

結婚してから、主人の実家へ行ったある日、わたしは親知らずが痛くなった。
緊張して歯をかみ締めていたのかもしれない。
わたしは、恐る恐る「歯が痛くなった」ことを告げた。
そうしたら、主人のお母さんから
「歯が痛いのかい?かわいそうに。」
という、いたわりの言葉が返ってきて、私は心底びっくりした。
えっ?!怒ってない。
私の実家だったら、せいぜい、
「あんたは、なんで肝心な時に限って具合が悪くなるんだ?」
となじられるのが常だったから。
具合が悪くなっても怒られないこともあるんだとその時はじめて思った。
子供の頃、学校へ行くのを嫌がってぐずぐずしてれば
「どうしてみんなみたいに楽しそうに学校へ通えないのかしらね?」
と言われ、
「どうしてみんなみたいに出来ないのはこっちが聞きたいくらいだよ」
と内心では泣きたい気分だったけど、自分は変なんだと思い込んでいたので、ますます、自分でどうにかしなきゃいけないんだってプレッシャーを感じるのみだった。
神経使ってへとへとになって、体調を崩すと
「どこで、いらない神経使ってくるんだかねえ?みんなはもっと元気なのに」とまた母親が不機嫌になる。
家ではうかうかと調子悪そうな顔も出来なかった。
ちょっとしたことでストレスを感じて具合が悪くなりそうになると
「そんなんじゃみんなに嫌われるよ」
と言われ、だからといって、部屋にこもってると今度は
「学校での話を家でちっともしない」
と不機嫌になった。
いったいどうしたらよかったんだろう?と今でも思う。
母親は「うちは放任主義だから」と言いつつ、暗に監視しているような雰囲気があり、私はこの人の闇から私を支配しているような見えない縛りにいつも怯えていた。
結局私はいつも疲れきっていて、ほっと一息できるのは寝ている時間のみという生活を送っていたのだった。